あしひきの

「奥ゆかしい」を国語辞典で調べてみると、

「表から見えない奥深くに魅力を感じること」とされています。

 

 

この奥ゆかしさというものは日本特有の文化と言え、

日本では古くから日本の精神として尊重されてきました。

 

しかしながら、欧米などではこれは否定的に捉えられることが多いです。

自分の意見を上手く表現できない状態という風に見られるのですね。

 

 

 

あくまで個人的な感覚ですが、

欧米では、なんでもはっきりさせようとする方向に動くことが多いように思います。

 

 

たとえば、料理。

 

ステーキやホットドッグ、ハンバーガーを思い浮かべて頂けるとわかりやすいと思います。

ケチャップやマスタード、各種スパイスをばかばかかけて、風味付けをする。

よく言われる”足し算の料理”です。

 

 

一方、日本では、

今でこそ欧米の文化が輸入されて料理自体も少しずつ多様化していますが、

昔から続く日本料理、つまり和食はその素材そのものの風味を引き立てる料理です。

風味を付けにいくのではなく、素材の味を引き出すようにする。”引き算の料理”。

 

スイカに塩をふってスイカの甘さや美味しさを引き立てる、というのがこれに当てはまります。

 

 

お茶についても似たことが言えると思います。

味の面ではなく、気持ちの面について。

 

お茶は珈琲とは違い、

仄かな風味を自ら感じにいかないといけません。

珈琲のようにガツン!とくるような風味はないからです。

 

心を落ち着かせて、

「これからお茶を飲むよ」

という気構えが大切だと、

最近お世話になっているお茶園(一心園)のご主人に教えていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

なんでもそうなんですが、

短期的な利益は魅惑的です。

欧米に限った話ではなく、人間にとっては。

 

 

でも概して、短期的利益は長期的利益に繋がらないことが多く、むしろマイナスであることが多いです。

 

 

美味しいと感じる砂糖や塩などの調味料やお肉を過剰摂取した場合の体への影響(糖尿病や高血圧、味覚障害など)、

少し意味を拡げて、冷房なんかもそれに当てはまります。

短期的な涼しさを求め続けた結果、冷房病や冷え症が増えてしまいました。

 

 

 

 

 

 

何が言いたいかというと、

”奥ゆかしさ”というものは、短期的な利益にさほど捉われない考え方のひとつで、

人が生きていくうえで大切なものなのではないかなあという事です。

 

 

それを国の文化としている日本に生まれ育ったことに対して嬉しいと思うと同時に、

これがグローバル化の進行によって少しずつ失われつつあることが残念だとも思います。

(だからどう行動するか、というのはもっと先のお話ですが。)

 

 

うむ。

この年になってやっと自国の文化の良さというものが少しわかってきたかもしれません。

 

 

それはたぶん、

自分の肌でそういう文化に直接触れることができたからでは、

と思ったりもしています。

 

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でも...

 

 

 

美味しいもの=体にいいもの

ではないようにできているなんて、

なんだか憎くて面白い世界ですよね。